進行・再発例(1)

Q1.1年前に手術した太ももの軟部肉腫が肺に転移したと言われました。もう治療法はないのでしょうか?
 
川井章先生差替写真回答者:川井 章先生

国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍科/希少がんセンター
 
 
 
 

A.初診時に転移のない軟部肉腫が、原発巣の治療後に転移を生じる可能性は、ステージ1(悪性度の低い腫瘍:高分化型脂肪肉腫など)あるいはステージ2(悪性度が高く小さな腫瘍)では10~20%以下ですが、ステージ3(悪性度が高く大きな腫瘍)では30~50%に達します。
 
転移先としては、ご相談の方のように肺に転移することが最も多く、他の”がん”でよく見られるリンパ節転移はまれです。
残念ながら転移を生じてしまった場合、治療成績は生じなかった場合より確かに悪くなってしまいますが、決してもう治療法がない(助からない)というわけではありません。

 

まずは、どこに、どのような転移が生じたのかをCTなどできちんと評価することが重要です。
その上で、転移巣の数が少なく、転移巣の全切除可能な状態であれば、転移巣切除を検討します。
転移巣の数が多い、手術困難な部位にある、或いは急速に数が増える、など切除が困難と考えられる場合には、抗がん剤による治療を検討します。

 

たしかに簡単な病状ではありませんが、軟部肉腫の肺転移を切除後5年以上再発転移なく“治癒”したと考えられる患者さんもおられますし、抗がん剤治療によって何年も肉腫の進行を抑えて病気と“うまく付き合って”おられる方もたくさんいらっしゃいます。
どうぞ、肉腫の治療経験の豊富な信頼できる先生と一緒に、病気に立ち向かっていただきたいと思います。

 

<<一覧へ戻る

error: コンテンツは保護されています