Q9.最近、メディアなどで免疫療法(免疫チェックポイント阻害薬オプジーボなど)ががんの第4の治療法になるのではないか、と言われていますが、肉腫にも効果は期待できるのでしょうか?
┃回答者:米盛 勧先生
国立がん研究センター中央病院 乳腺・腫瘍内科
A.がんに対する薬物療法は、
①全ての細胞に共通する増殖の仕組みを妨害することにより、正常な細胞より増殖が活発ながん細胞を減らす殺細胞薬剤、
②正常な細胞よりがん細胞に多い特徴といえる分子を標的にした分子標的薬剤、が主な治療薬として使用されていました。
最近、がん細胞が体の中の免疫の攻撃を受けないように様々な工夫をしていることがわかってきました。
がん細胞が免疫の攻撃を回避する仕組みを妨害することで、体の免疫によりがん細胞を攻撃することにつなげる薬剤が、免疫チェックポイント阻害薬といわれています。
免疫チェックポイント阻害薬のコンセプトは、体の免疫の仕組みを利用してがんを攻撃するという新しい戦略になります。
現在、様々な製薬企業がこの免疫チェックポイント阻害薬を用いた臨床試験を色々ながんの病気で実施しています。
臨床試験の結果が、有効性と安全性のバランスが保たれていて、治療として用いることの有用性があるという結論に至ると、通常、薬剤は皆さんの保険診療の下に使用することが可能になります。
逆に、効果がない・乏しい場合には、不利益が多いために保険で使用できる状況にはなりません。
現在、免疫チェックポイント阻害薬をがんの治療として国内で使用できる疾患もありますが、肉腫においては研究開発が継続中であり、2016年5月時点、国内で肉腫に対して薬物療法の治療選択肢として免疫チェックポイント阻害薬をご提示できる状況にありません。
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