進行・再発例(7)

Q7.滑膜肉腫が進行したので、先生からトラベクテジン(ヨンデリス)というお薬による治療を勧められています。ヨーロッパでは5年以上前から使われているお薬と言うことですが、どんなお薬なのでしょうか。また、どんな副作用があるのでしょうか?
 
上田孝文先生写真(再トリミング)回答者:上田 孝文先生
国立病院機構大阪医療センター 整形外科

 
 
 
 
 

A.これまで、滑膜肉腫を含め軟部肉腫全般に対して有効とされるお薬は、アドリアマイシンやイホスファミドなど、非常に限られた種類のものしかなく、薬の選択余地はほとんどありませんでしたが、最近いくつかの新しいお薬が開発・承認され、軟部肉腫のタイプ(“組織型”)別にお薬の種類を選べるようになってきました。
 
その中で、滑膜肉腫などに対して有効であると期待されるお薬の一つにトラベクテジン(ヨンデリス)があり、わが国でも最近保険承認されました。
トラベクテジン(ヨンデリス)は一般の抗腫瘍薬と同様、吐き気や骨髄抑制などの副作用がある以外に、肝臓障害が肉腫に対して用いられる他の抗腫瘍薬に比べ多い傾向にあること、また比較的まれではありますが、筋肉痛などを生じる横紋筋融解症という重い副作用を来すことがあるため、血液検査でCK(CPK)という酵素の値に注意しておく必要があります。

 
さらに、トラベクテジン(ヨンデリス)は血管の外に薬が漏れると重い皮膚障害を来すため、点滴治療を受ける際には手足の末梢静脈ルートからではなく、より太い血管である中心静脈ルートからお薬を投与する必要があります。
 
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