Q5.小さい頃から体にたくさんのあざや小さな皮膚の腫瘤があり、神経線維腫症I型(NF1)と診断されました。お医者さんから、将来悪性の肉腫が生じる場合があると言われ心配です。どのような病気がいつ頃生じる危険があるのでしょうか?また、どのようなことに気をつければ良いでしょうか?
┃回答者:小倉 浩一先生
国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍科
A.神経線維腫症I型(NF1)はフォン・レックリングハウゼン病とも呼ばれ、カフェオレ斑(皮膚に生じる扁平で盛り上がりのないミルクコーヒー色~褐色の色素斑)と全身に多発する神経線維腫を特徴とする遺伝性疾患です。
骨、眼、神経系、内臓などに多彩な症状を呈するほか、患者さんの約2-10%で神経線維腫が悪性化し、「悪性末梢神経鞘腫瘍」と呼ばれる悪性の肉腫を生じることがあります。
神経線維腫症I型の患者さんはもともと体の皮膚にたくさんの腫瘤(神経線維腫)がありますので、長年にわたって大きさが変わらなかった腫瘤が、短期間に大きくなる場合は良性の神経線維腫が悪性化した可能性があります。
また、手足の運動や感覚を司っている神経に発生した神経線維腫が悪性化した場合、腫瘍の増大による運動麻痺や感覚障害、強い痛みやしびれが生じます。
したがって、短期間のうちに急速に腫瘤が大きくなる場合やそれまで無症状だった腫瘤に短期間のうちに痛みやしびれが出現した場合は、悪性化の可能性もありますので、早めに肉腫の診療経験の豊富な病院を受診されることをお薦めします。
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