局所治療(2)

Q2.大腿の粘液線維肉腫と診断されました。先生からは、再発しやすい肉腫なので筋肉など周囲の正常組織を含めて大きくとる(広範切除)ことが必要と言われました。どのくらい大きくとる必要があるのでしょうか?歩けなくなってしまわないでしょうか?
 
写真永野先生(再トリミング2)回答者:永野 昭仁先生
岐阜大学医学部 整形外科

 
 
 
 
 

A.粘液線維肉腫は悪性の軟部腫瘍の一つで60歳以上の比較的高齢の方に多く発生します。肉腫は一般に腫瘍として触れる部分のまわり、一見正常に見える部分にも腫瘍が広がって存在している(浸潤(しんじゅん)している)ことが多いのですが、粘液線維肉腫はほかの肉腫よりも広い範囲にわたり浸潤していることが多いです。
 
そのため手術をしても再発しやすく、再発率は50-60%とする報告もあります。治療は周囲に浸潤している腫瘍を残さないために、正常組織で腫瘍をくるむように切除する広範切除を行います。
具体的な切除する範囲は造影MRIをはじめとした画像検査で、腫瘍のできている部位、大きさ、神経や血管など重要な組織と腫瘍との距離などを考慮して、総合的に決定します。

 
また、切除する筋肉の種類やその量、また、神経も同時に切除が必要かどうかで、術後に起きるであろう歩きにくさの程度は予想ができますので、主治医の先生によくお聞きになるのがいいと思います。
 
手術によって大腿部の筋肉を切除すれば確かに歩きにくくなることが多いですが、もともと歩けていた方が全く歩けなくなることはほとんどありません。
装具やリハビリも効果があることが多いです。
いろいろとご心配だとは思いますが、ぜひ主治医の先生とよくご相談になっていただき、手術を乗り切っていただければと思います。

 
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