局所治療(4)

Q4.大腿の脂肪肉腫と診断されました。先生から、手術できちんと取りきること(広範切除)ができれば、抗がん剤による治療(補助化学療法)は必ずしも必要ないと言われました。軟部肉腫に対する補助化学療法のメリットはどれくらいあるのでしょうか?また、どのような場合に補助化学療法を受けた方がよいのでしょうか? 
 
写真岩田先生回答者:岩田 慎太郎先生
国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍科/希少がんセンター
 
 
 
 
A.がんに対する三大治療は、手術、抗がん剤、放射線治療と言われていますね。
脂肪肉腫を含む軟部肉腫を完全に治すためには、手術による広範切除は必要不可欠な治療法です。
言い換えるならば、理想的な手術が行われた場合、それだけで治る軟部肉腫もあります。

 
しかし、これまでの国内・国外における研究の結果、ある一部の「高リスク」軟部肉腫は手術だけでは不十分、つまり転移や再発を起こしやすく、治りにくいということがわかってきました。
ここで言う「高リスク」とは、軟部肉腫の分類上「高悪性度」であり、かつ大きさが「5cm」以上で、筋肉の中などの「深部」に発生した腫瘍のことです。

 
このような高リスク軟部肉腫に対しては抗がん剤治療(補助化学療法)を追加して行うことが推奨されます。
これまでの研究結果からも、高リスク軟部肉腫に対し、手術に補助化学療法を追加することで、手術のみの場合よりも転移・再発リスクが33%、死亡リスクが23%低下することが分かっています。

 
そうは言っても、補助化学療法には抗がん剤の副作用がつきものです。上に述べました補助化学療法を行うメリットと、副作用や時間・金銭的な負担などのデメリットをよく担当医よりお聞きになり、本当に補助化学療法を行うかどうかをよく担当医と相談されることをお勧めいたします。
 
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