進行・再発例(2)

Q2.軟部肉腫(脂肪肉腫)の手術後1年弱で再発・多発肺転移し、手術は不可能と言われました。抗がん剤治療が中心になるとのことですが、どのような治療になるのでしょうか?
 
医者回答者:米盛 勧先生
国立がん研究センター中央病院 乳腺・腫瘍内科
 
 
 
 

A.脂肪肉腫が再発し、多発転移している状況は、がん(悪性腫瘍)が血液やリンパ液を介して全身に広がっている状況(全身病)です。
したがって、局所治療である手術療法や放射線療法が、がんそのものに対する治療として有効な手段になりません。

 

全身に広がっているがんの病気は、あなたにとって「持病」といえるものであり、持病の管理の目標として、
①がんによる症状をより少なく過ごす、
②がんによる生命の危機のリスクを減らす、ということを掲げていきます。

 

①については、症状緩和治療になります。
②については、全身治療である抗悪性腫瘍薬療法になります。

 

再発・転移している肉腫の病気で、抗悪性腫瘍薬療法をする場合に、まず使用を検討する薬剤はドキソルビシン療法になります。
ドキソルビシンは、全ての細胞に共通する増殖の仕組みを妨害することにより正常な細胞より増殖が活発ながん細胞を減らす戦略をもった薬剤になります。
約半世紀前に発見された薬剤で、様々ながんの治療薬として大きな実績のある薬剤です。
肉腫においては、一番初めに使用する薬物療法の選択肢として長年世界中で使用されているものになります。

 
ドキソルビシン療法は、1回の治療が約1時間程度の点滴の治療法で、通常、3週ごとに繰り返します。
治療は、効果や副作用を評価しつつ、あなた自身のドキソルビシンの総投与量がある一定の量を超えない回数までおこないます。
治療法や副作用など治療法の詳細は、あなたを担当する医師のご説明を伺いましょう。

 
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