診断(4)

Q4.長男が骨肉腫と診断されました。骨肉腫の原因はどこまで分かっているのでしょうか。兄弟や、将来もし彼に子供ができた時に遺伝する危険性はあるのでしょうか?
 

写真岩田先生回答者:岩田 慎太郎先生
国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍科/希少がんセンター
 
 
 
 
 

A.ご長男が骨肉腫と診断され、とても心配なさっていることでしょう。
実は骨肉腫の原因は、ほとんど分かっていないのが現状です。

 

骨肉腫を含むほとんどのがんは、遺伝子に起きた異常が原因で発症するとされています。
その異常を生まれつき持っている(つまり親から遺伝した)がんは全体の10%程度に過ぎず、これを「遺伝性がん」と言います。
他の90%のがんは生まれてからこれまでの人生の中で受けてきた様々な刺激(食事や日光、タバコなど)が原因で起こった遺伝子の異常が蓄積してがんが発症します(これを「散発性がん」と言います)。

 

骨肉腫の原因となるような刺激は分かっていませんが、放射線は一つのリスクとして挙げられるでしょう。
このことは、以前に何らかのがんに対し放射線治療を受けたことのある方に、まれに骨肉腫が発生することがあることからも説明できます。
これまでに骨肉腫の患者さんによく見つかる遺伝子の異常は数種類わかっておりますが、それだけでは説明がつかないほど、骨肉腫は複雑な病気であるようです。

 
現在、この難解な病気に対し、その発症の秘密を説明できるような遺伝子異常を突き止めるための国際的なプロジェクトが進んでいます。
私たちも、近い将来骨肉腫の原因が明らかになることを期待しています。

 

また骨肉腫の大半は散発性発症であり、これは遺伝することはありません。
しかし、ごくまれに遺伝性の骨肉腫も存在します。

 
もし骨肉腫と診断された方のご家族に複数のがん患者がいらっしゃる場合、遺伝カウンセリングをお受けになることをお勧めいたします。
遺伝カウンセリングに関しては担当医にご相談ください。

 
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最終更新日: 2017年7月30日

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