局所治療(7)

Q7.ふくらはぎ(脛骨)の骨肉腫と診断されました。先生から、足を残して手術(患肢温存)するのと、切断(膝下切断)するのと、機能的には切断の方が良いかもしれないと言われました。切断と患肢温存のメリットとデメリットを知りたいです。
 
丹澤義一先生顔イラスト回答者:丹澤 義一先生

国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍科

 
 
 
 
A.脛骨の骨肉腫で膝下切断した場合の術後の下肢機能は、患肢温存手術を施行した場合とで同等であるという報告があります。
切断で足を失っても義足を装着して歩行は十分に可能ですし、義足でスポーツを行っている方もいるくらいです。

 

また、切断の場合には、腫瘍から十分な距離をとって切除を行うことができるため、局所再発の心配が少ないこと、術後早期のトラブル(創部感染、創部の治癒が遷延する、など)が少なく、術後に必要な化学療法にスムーズに移行することができるというメリットがあります。
 

患肢温存手術は、人工関節置換術や自家処理骨移植(自分の骨を再利用する)などの方法がありますが、切断と比べた場合のメリットとしては何より自らの足で歩行できるということにつきるでしょう。
デメリットとして、術式によっては複雑な方法を要するため、術後のリハビリテーションに長期間を要し、短期的にみると術後の下肢機能が切断術よりも劣るケースもあるかと思います。

 

しかし、切断には整容上の問題があるため、この術式を受け入れるまでには心の準備が必要でしょう。
そこで最近では切断された方のリハビリテーションを多く担当していただいている病院・施設へ術前に訪問していただくことも国立がんセンターでは薦めております。

 

双方のメリット、デメリットをよく理解し、主治医と十分相談した上で最終的にどちらを選択するか決定するのが望ましいでしょう。
 
<<一覧へ戻る

error: コンテンツは保護されています