放射線治療(2)

Q2.肉腫に対する重粒子線治療が保険でできるようになったと聞きました。これを使えば肉腫は切らずに治せるようになるのでしょうか?
 

写真今井先生(再トリミング)回答者:今井 礼子先生

国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所病院

 
 
 

A.手術ができる症例に対して、手術を行った場合と、重粒子線治療を行った場合の治療成績を比較する臨床研究は現在まで行われていませんので、手術の代わりに重粒子線治療をお勧めするエビデンスはありません。
 

肉腫の標準的な局所治療は手術です。特に、高悪性度肉腫の場合は、標準的治療をきちんと受けることが病気を治すために大切です。
しかし、経験的に重粒子線治療の効果がよい肉腫はわかってきています。
例えば仙骨脊索腫は、手術より重粒子線治療が行われることが多くなっています。

 

肉腫の治療において重粒子線治療は安全性と有効性が認められ、2016年4月から保険適用されました。
健康保険で治療できる肉腫は、<切除非適応骨軟部肉腫>です。
切除ができない、または切除を行う利点がない、と骨軟部腫瘍外科医(整形外科医)から判断された場合に保険が適用されます。
切除ができない、または利点がない、と判断される基準の一つは術後の機能損失の大きさです。
病巣が重要臓器に近く切除後の機能損失が著しく大きくなるような場合、例えば、切除を行えば寝たきりになってしまうような場合には、切除ができない、利点がない、と判断されます。
高齢者や持病がある患者さんの場合には、手術自体が体に与えるダメージも考慮され、切除が良いかどうか、判断されます。

 

切らずに治したい、というお気持ちはとてもよくわかりますが、治療法について主治医の先生とよくご相談ください。

 
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