放射線治療(3)

Q3.軟部肉腫の切除後、再発防止のために放射線治療が予定されています。具体的にはどのような治療なのでしょうか?また、その効果と副作用にはどのようなものがあるのでしょうか?
 

女性の先生回答者:角 美奈子先生
がん研有明病院 放射線治療部
 
 
 
 
 
 

A.軟部肉腫における治療の中心は手術ですが、四肢の切断や広範切除による日常生活への影響を少なくすることを考えた、患肢温存や機能温存を図りつつ根治を目指す治療方法が検討されます。
この流れの中で、抗がん剤の併用とともに放射線治療の応用が行われています。

 

術後照射とは、手術後に放射線治療を追加する治療方法です。
手術により得られる病理診断や病巣の広がりに関する情報を用いて治療する範囲や放射線の量を決定します。
具体的には1日1回1.8~2グレイを週5回毎日照射します。
1回の治療は10分程度ですが、ほとんどの時間は位置合わせと照射部位の確認にかかる時間であり、実際の治療時間は数分です。
術前術後の画像検査の結果と病理の情報より病巣のあった部位および周囲への広がりが考えられる範囲に総線量45~50.4グレイ照射したのち、病巣のあった部位や残った可能性のある範囲に絞って10~16グレイを追加することが多く、総線量60~66グレイで計画されます。

 

術後照射の副作用は、治療範囲に限られるのが原則です。
治療中に出現することが多いのは皮膚炎と治療部位に含まれる粘膜の炎症であり、腸がふくまれれば下痢が口や含まれれば口内炎が起こります。
皮膚炎や粘膜炎は治療終了後数週間で改善してくる一時的な副作用です。

 
しかし、放射線治療の場合治療後数か月たって出現してくる可能性のある副作用(遅発性の副作用)があり、このタイプの副作用は完全に治ることはなく、なるべく日常生活への影響が少なくなるようにつきあっていくこととなります。
四肢では、体の柔らかい部分が硬くなり動きが制限される線維化や関節の動きが悪くなる拘縮、むくみがおこるリンパ浮腫、骨折がおこることがあります。
治療範囲の広さや総線量が影響することがわかっています。
四肢以外でも治療部位の骨の骨折以外に含まれる臓器により脊髄症や膀胱炎、直腸炎、肺臓炎などさまざまな症状があり、このタイプの副作用はなるべく将来の生活に影響がでないよう治療計画の段階で工夫されており、命にかかわる副作用は稀です。

 

術後照射の目的は再発の可能性を減らすことであり、手術後に腫瘍が残った患者さんの治療結果をみると、総線量64グレイ以下では5年間で34%が再発したのに対し、64グレイより多く照射した場合では15%に減少していることが報告されています。このように、放射線の総線量が多くなることで再発を減らすことができますが、副作用も多くなることが問題です。
 


 
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最終更新日: 2016年12月19日