局所治療(3)

Q3.上腕の軟部肉腫(滑膜肉腫)と診断されました。先生から、腫瘍が大きく手術だけでは手を残すことが難しいので手術前に抗がん剤治療を行ってから手術を行いましょう、と言われました。どのような治療、治療スケジュールになるのでしょうか?
 
遠藤誠先生写真(トリミング)回答者:遠藤 誠先生
国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍科/希少がんセンター
 
 
 
 

A.軟部肉腫に対する手術は広範切除といって、腫瘍そのものだけではなく、周囲の組織(例えば筋肉や脂肪など)と一緒に一塊として切除する方法が標準治療として行われています。
 
四肢に発生した軟部肉腫が重要な神経や血管と近接している場合、それらを合併切除すると術後に重大な後遺症(麻痺や血流障害など)が残ることになりますから、手術前に抗がん剤治療で腫瘍を小さくして、できるだけ重要な構造物を温存できるようにして手術を行う、という治療戦略が検討されます。
 

軟部肉腫に対する術前抗がん剤治療では、アドリアマイシン(A)とイホスファミド(I)という2剤を使って行うAI療法が日本における現在の標準治療と考えられています。
これは、アドリアマイシンとイホスファミドを点滴投与する治療で、5日間の点滴投与になります。

 

投薬は5日間ですが、投薬前に準備のための点滴もありますので、トータルで1週間くらいの治療になります。
このAI療法は3週間に1回の治療ですので、およそ1週間の点滴の後、2週間の休薬期間を経て、次の治療がスタートする、といったスケジュールになります。
このAI療法を術前に3サイクル(3週×3回)、術後に2サイクル(3週×2回)行います。
手術期間を含めると、治療スケジュールの開始から終了まで約4〜5ヶ月間の治療となります。

 

上記スケジュールは、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)骨軟部腫瘍グループで行った多施設共同研究(JCOG0304)に基づいています。
国内の主要医療機関約30施設が参加して行われた本試験では、高悪性度非円形細胞軟部肉腫に対する術前・術後AI療法の有効性が示されています。

 

抗がん剤治療の副作用について詳しく知りたい方は、”進行・再発例Q3.”「抗がん剤治療は吐き気などの副作用が大変辛いと聞いたことがあります。肉腫に対して用いられる抗がん剤の副作用にはどのようなものがあるのでしょうか?」の回答を参照してください。⇒<参照>”進行・再発例Q3.
 
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