局所治療(9)

Q9.大腿骨の骨肉腫に対して、人工関節を用いずに自分の骨(腓骨)を用いた患肢温存術が予定されています。どのようなメリット&デメリットがあるのでしょうか?
 

写真荒木先生(再トリミング)回答者:荒木 信人先生
市立芦屋病院 整形外科
 
 
 
 
 
A.骨肉腫の手術の基本は病気の骨を正常の組織でくるむように切除してしまうことです。
1980年台前半までは切断が基本的な手術でした。しかし、化学療法、画像診断方法、手術技術の進歩に伴い、切断をしなくても再発を防ぎつつ下肢を残す手術が出来るようになりました。これが患肢温存術です。

 
骨肉腫は骨を切除する必要があるため、温存した下肢で体重を支えるためには切除した部分の骨を何らかの方法で再建する必要があります。
現在標準的に行われているのは腫瘍用人工関節で、金属やプラスチックのような部品でできています。
手術自体も定型化されていること、通常は手術後数週間後には体重をかけて歩行出来るようになることなどがメリットです。

 
しかし人工関節は金属で残った骨に連結する構造ですが、時間の経過とともに結合部が緩んだりあるいは折損したりする場合があります。
また、関節のところにもストレスが集中して、部品が摩耗して緩んできます。
従ってよく動く人の場合は5年から10年程度で緩んだ部品の入れ替えというメンテナンスの手術を行うことが必要です。

 

また、血の通わない大きな金属が体内にあると、その表面に細菌が繁殖し、痛みや膿が出るなど感染を起こすことがあり、そうなると抜去しなければ治らない場合も多いのが難点です。
このように手術後長期間経過するにつれていろいろな合併症が生じてくるのが人工関節のデメリットといえます。

 
これに対して、自分の骨を用いた再建方法は骨が癒合すれば経年的に骨の成長が見込めるため時間が立つほど合併症を生じることが少なくなるメリットがあります。
ただし、骨で再建した場合は移植する骨が残っている骨と癒合することが体重を受けるためには必須で、骨癒合が起こるまで数ヶ月必要になったり、体重をかけた時に移植した骨が荷重に耐え切れずに骨折を生じたりすることがあり、これがデメリットです。

 
いずれの方法が良いかについては、実際の切除の範囲や、自分の職業や生活スタイルなど、いろいろな観点から考える必要があり、主治医の先生と十分に話合うことが最も大事です。

 
<<一覧へ戻る